Column
関関同立古文の敬語で人物関係に迷う人へ|動作主と受け手を分ける読み方
関関同立古文の敬語で人物関係に迷う人へ|動作主と受け手を分ける読み方
古文の敬語で人物関係が分からなくなったら、敬語を使う人・動作主・動作の受け手を分け、最後に「誰から誰への敬意か」を確認しましょう。尊敬語を見つけただけで主語を決めず、会話の範囲と前後の動作も照合するのが基本です。
関関同立を目指す人でも、「のたまふ=おっしゃる」と覚えているのに、本文では誰が話しているか分からなくなることがあります。訳語の暗記と人物の読み取りは別の作業です。この記事では、敬語の種類を一通り学んだ人に向けて、短い文から人物を整理する手順を紹介します。単語帳や古文全体の学習計画ではなく、敬意の方向を読解につなげる練習に絞ります。
この記事の要点
以下の例文は説明用に作成した短文で、過去問や古典作品の引用ではありません。基本的な能動文を中心に扱い、個別の語義・活用・特殊な構文は使用教材の解説と古語辞典で確認してください。
最初に分けるのは「敬意の主体」と「動作主」
敬意を表す人と、その文の動作をする人を別々に考えると、人物関係を整理しやすくなります。「誰が敬っているか」と「誰が話す・渡す・行くのか」は異なる問いです。
敬意の主体とは、その敬語で敬意を表す側です。基本的な読み取りでは、地の文なら作者・語り手、会話文ならその発言をしている人物を確認します。一方、動作主は敬語が表している動作をする人物です。作者が敬語を使っていても、作者自身が物語の中で動いているとは限りません。
会話の中でも同じです。侍従が「帝がおっしゃった」と大臣に伝えるなら、発言者は侍従ですが、「おっしゃった」の動作主は帝です。会話の話者を見つけた時点で、文中のすべての動作主まで決まるわけではありません。
この区別と基本的な敬意の方向は、埼玉県立春日部東高等学校「古典文法講座第十一回」でも説明されています。本稿の記入手順と短文例は、その基本を練習するための独自の提案です。
尊敬語・謙譲語・丁寧語の方向を整理する
基本の能動文では、尊敬語は動作主、謙譲語は動作の受け手、丁寧語は聞き手・読者への敬意を考えます。まず「誰を高めている表現か」を分けてから、具体的な人物名を当てはめてください。
次の表は、敬語の種類を確認した後に使う読み取りの目安です。
| 種類 | 敬意の対象の基本 | 確認する問い |
|---|---|---|
| 尊敬語 | 動作をする人物 | 誰がおっしゃる・いらっしゃるのか |
| 謙譲語 | 動作が向かう相手・受け手 | 誰に申し上げる・何を誰に差し上げるのか |
| 丁寧語 | 会話の聞き手、地の文の読者 | 誰に向けて丁寧に述べているのか |
「謙譲語だから、主語は自分」と決めないことが重要です。地の文では、作者が登場人物の動作を謙譲語で述べる場合があります。そのとき敬意の対象を考えるには、動作主ではなく動作が向かう相手を確かめます。
また、丁寧語は動作主を直接示す手掛かりではありません。誰が動いたかと、誰に丁寧に説明しているかを別に読んでください。
短い例文で地の文と会話文を比べる
同じ敬語でも、地の文から会話文へ移ると、敬意を表す側が変わります。次の例では人物を省略せず、まず役割の違いを確認します。
例1:地の文「帝、のたまふ。」
「のたまふ」はここでは「おっしゃる」という尊敬語です。動作は「言う」、動作主は帝。地の文なので、作者・語り手から帝への敬意と整理できます。誰に話しているかは、この一文だけでは分かりません。
例2:地の文「大臣、帝に文を奉る。」
ここでは「奉る」を「差し上げる」の意味の謙譲語として読みます。文を差し上げるのは大臣、受け取るのは帝。したがって、作者・語り手から帝への敬意です。大臣が動作主であっても、敬意の対象は大臣ではありません。
例3:侍従が大臣に「帝、のたまふ。」と伝える
この設定では「のたまふ」が侍従の発言の中にあります。敬意を表す側は侍従、動作主と敬意の対象は帝、会話の聞き手は大臣です。聞き手の大臣と、尊敬語で高められる帝を混同しないようにします。
なお、会話の後に地の文で「とのたまふ」と続く場合、その敬語は会話の中ではなく地の文にあります。かぎ括弧の近くにあるという理由だけで、敬意の主体を話者にしないでください。
主語が省略された文を読む5つの手順
省略された人物は、会話の範囲を確認し、動作の候補を出してから敬語と照合します。次の順番は、本文へ戻って読み直すための練習手順です。
- 敬語がある位置を確認する。地の文か、誰の会話・手紙の中かを区切る。引用の外にある語を会話の敬語にしない。
- 動作を普通の言葉に戻す。「のたまふ」なら「言う」など、敬意をいったん外して、何が起きているかを押さえる。
- 動作主と受け手の候補を出す。直前に登場した人物、発言の内容、物や手紙の移動から候補を考える。根拠がない人物名は補わない。
- 敬語の種類と候補を照合する。尊敬語なら動作主、謙譲語なら動作が向かう相手への敬意を検討する。語義と活用も確認する。
- 前後の動作までつなげて確認する。決めた人物で後続の発言や行動が自然につながるかを読む。合わなければ候補へ戻る。
ノートには「敬語/地の文・会話/動作主/受け手/敬意の主体から対象へ」を一行で残すと、どこで判断を誤ったかを見直せます。受け手が書かれていない例では「不明・この文では不要」としてよく、無理に全欄を埋める必要はありません。
尊敬語があるので「敬意を向けられる人物が動作主の候補」とは考えられても、それだけで人物を一人に決められるとは限りません。候補が二人残るなら、先を読んで確かめます。
敬語だけで決めないための注意点
語の見た目や身分だけで決めず、語義・活用・構文を確認してください。基本の整理が使えないと感じたときに、訳を無理に当てはめないことが大切です。
- 「給ふ」をすべて同じ扱いにしない。四段活用の尊敬語と、下二段活用の用法を区別する必要があります。「給ふを見たら主語を高める」で終わらせず、教材の活用表に戻ります。
- 「奉る」を必ず「差し上げる」にしない。本動詞・補助動詞の別や、尊敬語になる用法もあります。例2は「文を差し上げる」という条件を置いた説明です。
- 敬語がない人物を、必ず身分が低いと決めない。敬語の有無だけで全員の序列を作るのではなく、本文の呼称や状況も使います。
- 尊敬語と謙譲語が並んでも矛盾としない。一文で動作主と受け手の両方に敬意を表す場合があります。敬語を一語ずつ分けて対象を考えます。
受身・使役を含む文や、特殊な用法では、上の短文例をそのまま当てはめず、誰が誰に何をする構文かを先に確認してください。これは敬語が役に立たないという意味ではなく、敬語と文法・文脈を合わせて読むということです。
次の古文演習では一文だけ説明してみる
次の演習では、敬語のある一文を選び、「誰が何をし、誰から誰への敬意か」を本文の根拠とともに説明してみましょう。全文のきれいな現代語訳を作るより、まず人物の対応を確かめる練習にします。
間違えたら、語の意味を知らなかったのか、会話の話者を取り違えたのか、動作主と受け手を逆にしたのかを分けます。意味が分かっているのに人物を誤るなら、敬語一覧の暗記を増やすだけでなく、短文の読み取りへ戻るのが一つの方法です。
単語・文法・読解全体の進め方も見直したい人は、関関同立の古文対策で、今回の練習を学習全体の中に位置付けてください。
参考資料
- 埼玉県立春日部東高等学校「古典文法講座第十一回」(2020-06-16公開、2026-10-02参照)。敬意の主体・対象、地の文と会話文、用法の違いの確認に使用。
古文の敬語は覚えたのに人物関係で迷う方へ
関関同立合格塾では、オンライン個別指導と、ご希望の方への個別学習計画を通じて受験勉強を支援しています。相談時には、迷った一文と自分の読み取りを用意すると、古文で見直すべき点を具体的に伝えられます。
公式LINEから、無料学習相談・無料体験授業の予約ができます。
公式LINEで無料学習相談するまずは敬語のある一文で、発言者・動作主・受け手を分けてみてください。人物名を決めた理由まで言葉にできれば、次に読み直す場所も見つけやすくなります。