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関関同立物理の力学で式が立てられない人へ|力の図から運動方程式を立てる手順
関関同立物理の力学で式が立てられない人へ|力の図から運動方程式を立てる手順
関関同立の物理を勉強していて、公式は覚えているのに力学の式が立てられない場合は、注目する物体を1つ決め、その物体が受ける力だけを図に描く練習から見直しましょう。「どの公式か」を探す前に、力の相手、方向、座標の正の向き、加速度を整理すると、運動方程式の各項を説明できます。ただし、力の図だけで物理の全分野や力学の全問題が解けるわけではありません。
この記事は、一定質量の物体を扱う基本的な力学問題で、図から運動方程式へ進む手順に絞っています。入試の出題範囲や大学別の配点をまとめる記事ではありません。教科書で重力・垂直抗力・摩擦力と運動方程式を学んだ人が、典型問題の復習に使う方法を紹介します。
式を立てる前にそろえる3点
公式探しより先に、注目する物体を決める
まず決めるのは、どの物体の運動を調べるかです。複数の物体がある問題でも、最初は1つの物体について、受ける力を整理すると式の対象が明確になります。
物体だけを取り出し、その物体が周囲から受ける力を矢印で表す図を、ここでは「力の図」と呼びます。英語ではfree-body diagramと呼ばれ、OpenStaxの力の図の解説でも、注目する物体に働く外力を取り出す方法が説明されています。
たとえば机の上の物体なら、「地球が物体を引く重力」「机が物体を押す垂直抗力」を描きます。一方、「物体が机を押す力」は机が受ける力なので、物体の図には入れません。作用・反作用の2つの力は別々の物体に働くため、同じ物体の力として足し合わせないことが重要です。
また、「合力」や「ma」を、個々の力とは別の力として追加しません。合力は描いた力を足した結果であり、maは運動方程式の右辺です。本記事では地面に固定した座標など、慣性系として扱える座標を前提にします。加速する座標系で慣性力を使う問題は別に整理してください。
力の図を描く5つの手順
最初は物体→力の相手→矢印→座標→加速度の順で書きましょう。以下は、復習で確認項目をそろえるための提案です。入試で必ずこの順に書くことを求められるわけではありません。
- 注目する物体を囲む:物体名や質量を記し、どの物体の式かを明確にする。
- 力の相手を挙げる:地球、接触している面、ひも、ばねなどを確認する。
- 受ける力を矢印で描く:重力、垂直抗力、張力などを、名前と向きが分かる形にする。
- 座標の正の向きを決める:水平・鉛直、または斜面に沿う方向など、式を立てやすい軸を選ぶ。
- 加速度を別に記す:力の矢印とは区別し、軸ごとに力の成分の和=質量×加速度を書く。
垂直抗力は接触面に垂直な力です。重力といつでも同じ大きさになるわけではありません。また、向きが分からない力は仮に向きを決めて未知数で置き、計算結果の符号から判断できる場合もあります。
力を成分に分けたら、元の力と成分を二重に足さないようにします。たとえば斜面方向の式では重力の斜面方向成分を使いますが、それに重力の大きさmgをもう一度足すことはしません。
水平面の例で、図と式の項を対応させる
例題では、式を覚えるのではなく、各項が図のどの力に対応するかを確認します。以下は独自に作成した練習例で、特定大学の過去問ではありません。
水平な床の上を右向きに滑っている質量mの物体に、右向きの水平な力Fが働き、動摩擦力の大きさをfとします。床との接触を保ち、鉛直方向には運動せず、空気抵抗は無視する条件です。重力加速度の大きさをg、垂直抗力の大きさをNとします。
| 力 | 力を及ぼす相手 | 向き |
|---|---|---|
| 重力mg | 地球 | 下向き |
| 垂直抗力N | 床 | 上向き |
| 水平な力F | 引く人や装置 | 右向き |
| 動摩擦力f | 床 | 左向き |
右をx方向の正、上をy方向の正とします。鉛直加速度は0なので、N − mg = 0。水平方向の加速度成分をaとすると、F − f = maです。正の方向の力をプラス、反対方向の力をマイナスにしていることを、図と照合してください。
動摩擦係数をμkとするモデルなら、f = μkNを用います。OpenStaxの摩擦の解説で、動摩擦と静止摩擦の区別を確認できます。静止している物体の摩擦力を、最初から必ずμNと置くことはできません。
摩擦力の向きも、常に「物体が地面に対して動く向きの逆」と暗記するのではなく、接触面同士の相対的な滑りを確認します。この例では床が静止し、物体が床に対して右へ滑っているので左向きです。
動く向きと加速度の向きを混同しない
運動方程式で見るのは速度ではなく加速度です。上へ動いているから合力も上向きとは限りません。速度は動く向きと速さを表し、加速度は速度の変化を表します。
先ほどの水平面の例でFよりfが大きければ、aは負になります。物体がまだ右へ滑っていても、加速度は左向きで、速さは減っていきます。滑りが止まった後も同じ動摩擦の式をそのまま使い続けず、その時点の条件を見直します。
別の例として、床に固定した慣性系からエレベーター内の物体を見ます。物体はエレベーターの床との接触を保ち、重力mgと床からの垂直抗力Nだけを受けるとします。上を正とし、物体の加速度成分をaと置けば、N − mg = maです。
- 上向きに加速:aが正なので、Nはmgより大きい。
- 一定の速さで直線運動:aが0なので、Nはmgと等しい。
- 上へ動きながら減速:aが負なので、Nはmgより小さい。
この対応はニュートンの第2法則を使って確かめられます。「上昇中か下降中か」だけで垂直抗力を判断しないことが、図から式へ進むときの重要な確認点です。
解説の図を写すだけで終わらない復習法
復習では解説を閉じて、図と式の対応を自分の言葉で説明するところまで確認しましょう。きれいな図を再現することではなく、各矢印を描く理由が分かることが目標です。
- 問題文だけを見て、注目する物体と受ける力を描く。
- 各力について「誰が、どの物体に及ぼす力か」を説明する。
- 正の向きと加速度の条件を書き、軸ごとの式を立てる。
- 解説と照合し、抜けた力・混ぜた力・符号のずれを1つ特定する。
- 図の修正後にもう一度式を立て、条件を1つ変えた場合も説明する。
条件変更は、たとえば「同じ物体が等速なら」「摩擦を無視できるなら」のような小さな変更から始めます。変更後も元の力が同じように働くとは限らないため、まず図を描き直してから式を考えてください。
記録は「物理が苦手」ではなく、「床が受ける力を物体の図に入れた」「速度の向きを加速度の向きだと思った」と具体的にします。図は正しいのに式が違う場合は、成分分解や符号を確認します。式は正しく計算だけが違う場合は、図の描き方ではなく計算処理が課題です。
式を立てる前のチェックと次の練習
次の問題では、計算に入る前に物体・力・座標・加速度・条件の5点を確認します。すべてを長い文章で書く必要はありませんが、どれかを説明できなければ、その点を教科書や解説で確かめましょう。
- 式の対象となる物体が明確か。
- その物体が受ける力だけを入れたか。
- 正の向きと各力の成分・符号が対応しているか。
- 速度と加速度を区別したか。
- 摩擦、接触、無視する抵抗などの条件を確認したか。
まずは手元の基本的な力学問題を1問選び、数値を代入する前の図と式まで説明してみてください。力の種類そのものが分からなければ、問題数を増やす前に教科書へ戻ります。物理全体の学習順は、関関同立の物理対策の記事で別に確認できます。
参考資料:OpenStax「University Physics Volume 1」の5.7 力の図、5.3 第2法則、6.2 摩擦(2026年10月2日確認)。練習順序と例題は本記事の提案・独自例です。
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